
■薬の使用期限が切れるとどうなる
使用期限が切れた薬を使用すると、やはり効果が薄まることもあるのだろうか。
「薬は効果を発揮するため、決められた範囲の有効成分が入っていることが求められます。使用期限は、それぞれの薬ごとにいくつかの環境下で試験を行い、有効成分が十分残っていること、さらに、変化を起こして新たな物質ができていないか、その量と性質なども確認した上で決められています。保存条件を外れて保管したり、使用期限を過ぎてしまうと、有効成分が減少し効果が得られなくなったり、別の思わぬ物質ができていたりすることがあります」(帝國製薬株式会社)
さらに薬の保存時には、薬ごとに適した温度で保存する必要があるという。
「保存条件は薬により異なります。室温(1~30℃)、冷所(1~15℃)、常温(15~25℃)など、保存時の温度を守ることも大切で、高温な場所を避けるだけでなく、水分が多い製品では、凍結により元の性質から変化しまうことがあるため気をつけてください。製品によっては、光によって徐々に分解する成分を含んでいるようなものもあります。このような薬の場合、開封後は元の容器や袋から移し変えたりすることなく、開封口をしっかり閉めておくことが重要です」(帝國製薬株式会社)
購入した薬の容器やパッケージにも注意したい。
■市販の薬と処方された薬の使用期限
薬には市販のものと処方されたもの、両方がある。似たような薬なのに、使用期限が異なることがあるのはなぜなのか。
「前述のように、薬ごとに決められた保管環境のもと、有効成分が十分残っていること、さらに何らかの変化を起こして新たな物質ができていないか、粘着力などは十分かなどの確認(安定性試験)を行い、使用期限を設定しています。そのため、同じ有効成分の薬でも、薬のタイプや添加される成分によって、使用期限が異なることがあります」(帝國製薬株式会社)
効能が似たような薬だとしても、それぞれの使用期限、保存条件をきちんと確認することが大事だ。
■処方してもらった薬は余っても使用しない
医院で処方してもらった薬が余り、もったいないからと家庭の常備薬として保管している人はいないだろうか。やはり処分したほうがよいのだろうか。
「医療用に処方される医薬品は、医師や薬剤師の先生が患者の症状や同時に服用されている薬などとの相互作用にも配慮し、最も適したお薬を処方しています。同じ有効成分を含む薬であっても、配合されている添加物や、患者さんの年齢や日常生活の状況(屋外での行動が多いかなど)といったことにまで配慮した上で処方されていることもあります。処方薬を他人が使って、皮膚に障害が起きたようなこともあるようです」(帝國製薬株式会社)
用量用法を誤るとかえって悪影響が出ることもあるため、処方された薬を一般の薬と同様に使うのは控えてほしいとのこと。もったいないが、余った薬は使用せず処分することが重要だろう。
店頭で購入した薬も、使用期限や保存情報をよく確認すること求められる。救急箱などの常備薬も定期的に使用期限の確認と買い替えをしていきたい。
●専門家プロフィール:帝國製薬株式会社
1848年に創業、香川県に本社を置く医薬品メーカー。パップ剤の生産量世界トップクラスを誇る。「痛み」と「経皮吸収」の二つの軸を得意分野としている。